発電所で作られた電気は高圧で、そのままでは家庭などで使うことはできません。
そのため変電所が存在するわけですが、変電所の仕組みについて正しく理解している方は少ないでしょう。
変電所ではどのような作業が行われているのか、その仕組みについて見ていきます。
さらに電気のトランスの仕組みについても紹介します。
電気が家庭で安全に使えるようになるまでの流れを理解しておきましょう。
変電所の仕組みについて
変電所というのは、一言で説明すれば電気の圧力、つまり電圧を変えるための設備です。
電圧を上げる場合もあれば、下げる場合もあるのですが、いずれにしても電圧を変えることが目的で利用されています。
発電所では電気を作り送電する際、昇圧用変圧器を使って、50万ボルトもしくは25万ボルトという非常に高い電圧で送電を開始します。
これでは電圧が高すぎて家庭などで使用する電化製品などには使うことはできません。
しかし、電圧を高くしておかないと、送電時に起こる抵抗によってエネルギーが消耗され、電気として利用できなくなってしまうのです。
最初から適切な電圧で送電すると、各家庭や施設に電気が届く頃には、必要なエネルギーがなくなってしまうため、まずは高電圧で送電する必要があります。
とはいえ高電圧のままでは電圧が高すぎて使えないため、最終的には高圧用変圧器を使って電圧を下げなければいけません。
電圧を上げる、または下げる役割を担うのが変電所で、発電所で作られた電気は昇圧用変圧器によって電圧を上げた後、いくつかの高圧用変圧器を持つ変電所を通ることで徐々に電圧を下げ、最終的には家庭で使える100ボルトまで下がります。
電圧を自由に操作するための設備が変電所であり、電圧を上げたり下げたりするのが変電所の仕組みです。
私達が日常で使う変圧器と同じ仕組み
電圧は国によって違うため、海外旅行では日本製の電化製品を使うため、変圧器を使うことがあります。
たとえば電圧が200ボルトの国に行った場合は、日本製の電化製品は100ボルトに対応しているため、そのままでは使えないので変圧器を使って200ボルトまで電圧を上げます。
海外旅行に行った経験がある方なら、過去に使ったことがあるというケースも多いと思うのですが、これと同じことが変電所でも行われているわけです。
私達が使うことのある変圧器も、変電所の変圧器も仕組みは同じで、違うのはそのサイズくらいです。
エネルギーのロスを抑えるために超高圧で送電し、家庭で使えるように変電所で電圧を下げることで私達は日常生活で快適に電気を利用できています。
変電所は、私たちの生活に欠かせない非常に重要な設備なのです。
電気のトランスとは?
電気に関する用語として、トランスという言葉がありますが、これは日本語にすると「変圧器」という意味を持ちます。
つまり上記で紹介した、電圧を上げたり下げたりする変圧器のことをトランスとも呼ぶのです。
変電所でもトランスは使われていますが、一般家庭にある電化製品にもトランスが使われています。
たとえばテレビもそうです。
テレビの内部ではさまざまな機能があり、これらの機能は100ボルトで動く機能もあれば、そうでない機能もあります。
一般家庭に届く電気は100ボルトになっていますが、このままでは一部の機能が動かせない状態です。
そこで電源トランスと呼ばれる変圧器をテレビに搭載しておき、テレビの内部に電気が流れる前に、各機能に適した電圧に変更しています。
また、電源トランスには絶縁の役割もあり、電圧の調整と同時に絶縁することで安全性を確保しています。
変圧器、トランスは電圧の変更と絶縁を行う重要な設備なのです。
トランスの仕組み
トランスの仕組みを知るためには、トランスの構造を理解する必要があります。
トランスには鉄心と呼ばれる装置があり、この鉄心に1次コイルと2次コイルが巻かれています。
コイルというのは電線のことです。
1次コイルと2次コイルを、鉄心に何回巻き付けるかで電圧を操作できる仕組みになっています。
巻き付ける回数を調整することで、適切な電圧へと変更し、各種電化製品で利用できる電圧にしたり、発電所から送電される高圧の電気を低電圧に下げたりしているのです。
仕組みとしては非常にシンプルですが、変電所や電源トランスではこうした作業が行われていて、そのおかげで電気を利用できています。
トランスによって電圧を自由に変えられるため、安定的に電力を供給しつつ、各家庭や企業などでたくさんの電化製品を動かせているわけです。
普段何気なく使っている電気は、変電所を通して電圧を調整し、さらに電化製品に付けられている電源トランスでも電圧の調整を行い各機器が正常に動くように働いています。
トランスがあるからこそ電気を活用できているとも言え、非常に重要な存在です。
こうした仕組みを理解しておけば、電気がどうやって私達の生活を支えているのかもイメージしやすくなります。
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