キュービクルなどの大きな設備の導入について考える場合、事前に費用対効果を分析することはとても重要ですが、その際に知っておきたいことの一つが耐用年数です。国税庁が提供している情報によって、さまざまな資産の耐用年数を知ることができますが、キュービクルの耐用年数はどれぐらいでしょうか。
今回はキュービクルの耐用年数と、それに関係する減価償却についてご解説いたします。
国税庁から発表されている耐用年数はどれくらい?
耐用年数(その資産を何年使用できるか)というものは、製品やその使用の仕方によって大きく異なりますが、法律によって安全に使用できる年数が一律に定められており、それを法定耐用年数といいます。
国税庁が発表している耐用年数表から知ることができますが、キュービクルの場合は、どのような用途で用いられているかで法定耐用年数が異なります。事務所用として使用しているものは15年、工場で製造用として用いられているものは、その業種によって耐用年数が変わります。
では、新しく設置したキュービクルは、法定耐用年数が経過すると使えなくなるのでしょうか。この法定耐用年数というのは、どれぐらいの期間安全に使用できるかという目安として定められていますので、実際に使用できる年数よりは短く設定されています。
特にキュービクルは、高い電圧を扱う装置ですので、故障してしまうと大事故につながる可能性があります。実際には長い年月に渡って使用することができますが、法定耐用年数としては短めに設定されているのです。
キュービクルは一つの設備ではなく、変圧器やコンデンサ、断路器など多くの部品によって構成されています。ですから法定耐用年数としてはキュービクル単体で定められていますが、部品ごとの実際の耐用年数は違ってきます。それぞれの部品のメンテナンスをしっかりと行うことで、キュービクルを長く安全に使用することができます。条件によっては50年以上という長い期間使用することも可能です。
もちろんこの法定耐用年数は、安全の目安となるだけではありません。大切な役目として、会計処理を行う際に減価償却費を計算するために必要な情報となります。
キュービクルの減価償却とは?
まず減価償却とは何でしょうか。会社が建物や車、またキュービクルのような設備を購入した場合、その時点での支出は非常に大きくなります。しかしそれらの固定資産により得られる収入は毎年発生し、その後何年も続いていきます。もしこの状況をそのまま記録し会計処理を行うならば、最初の年は大きな赤字となり、2年目以降は毎年黒字へ転向します。
しかし、実際に行われる会計処理はこのような方法ではなく、減価償却という方法が取られます。固定資産はその使用や時間の経過と共に劣化し、いずれは使えなくなります。そのような固定資産は、時間と共に価値が下がっていくものと考えることができます。
固定資産の購入金額を一度にすべて費用として計上するのではなく、価値が下がった分だけを少しずつ費用として計算する方法、それが減価償却です。そうすることで、最初の年だけ大きい赤字で次の年から黒字になるということはなく、毎年の会社の経営状態を正確につかみやすくなりますので、減価償却という方法で会計処理を行うことになっているのです。
仮に、事務所用で240万円のキュービクルを購入したとするならば、会計処理はどのようになるでしょうか。キュービクルの購入費用240万円を法定耐用年数15年で割ると、1年で16万円となります。ですから、最初の年に240万円すべてを費用として計上するのではなく、減価償却費として毎年16万円を、15年に渡って計上していくことになります。
まとめ
このようにキュービクルの法定耐用年数を知っておくことで、どのぐらいの期間安全に使用することができるかの目安とすることができますし、会計処理において減価償却費を正確に計上することができます。しかしその年数を越えても使用することができますので、キュービクルを長く使用する上で定期的な点検やメンテナンスは欠かせません
ある程度大きな費用が掛かる設備ですので、購入前によく費用対効果を検討し、設置後もこまめにメンテナンスを行うことによって、長期間安全に使用することができるでしょう。
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