電気料金は経費の中で大きな部分を占めますので、電力会社との契約を見直すことは大幅な経費削減につながる可能性があります。契約には様々な種類があり、それぞれの電力会社によっても異なりますが、大きく分けて「高圧受電契約」と「低圧受電契約」の2種類の契約方法があります。
今回は高圧受電と低圧受電の違いについて解説いたします。
高圧受電は工場や商業施設向き
高圧受電という名前が表しているように、電気の使用量が大きい施設は高圧受電契約を結ぶことで、高電圧の電気の供給を受けることができます。高圧受電が必要な施設としては工場やビル、病院、学校、ホテル、また大規模な商業施設などがあります。高圧受電契約と低圧受電契約の違いの目安となるのは、契約電力が50キロワット以上か未満かということです。50キロワット以上であれば高圧受電契約、50キロワット未満であれば低圧受電契約になります。
高圧受電と低圧受電は設備の違いに表れます。
電気は様々な発電所で作られたのち50万ボルトという超高圧の電気に変換され、各地の変電所を経ながら徐々に電圧を下げて送られています。
そして高圧受電契約をしている施設の場合、変電所から6,600ボルトの高電圧の電気が直接施設内のキュービクル(キュービクル式受変電設備)へ供給され、そこで100ボルトや200ボルトに降圧して使用することができます。
ですからキュービクルが設置されているかどうかで、高圧受電契約か低圧受電契約のどちらの契約を結んでいるかを知ることが出来ます。
また高圧受電契約と低圧受電契約は料金が異なります。キュービクルなどの受電設備を需要家側で設置し管理する必要があるため、当然そのためのコストが掛かりますが、その分高圧受電契約は料金が割安になっています。電気を使用する量が多ければ多いほど、料金面でメリットが大きくなりますので、高圧受電契約は電気使用量の多い大型の施設に向いています。
低圧受電は商店や医院、カフェ向き
低圧受電契約は一般家庭でも契約しているもので、他にも小規模な商業施設、美容院、医院、またカフェなどそれほど大きな電力を必要としない施設が契約しています。
低圧受電契約ではキュービクルを設置する必要がなく、変電所から送られた6,600ボルトの電気が電力会社側の変圧器によって100ボルトや200ボルトに変換され、需要家のもとへ送られます。
電柱の上部に設置された大きな円筒型のものをご覧になったことがあるかと思いますが、それが柱上変圧器と呼ばれるもので、そこで電圧の変換が行われています。
ですから需要家側で受電設備を設置する必要がありませんので、そのコストが掛からないという利点があります。電気を使用する量が多くない施設、あるいは高圧受電契約を結んでいるが、以前よりも電気使用量がかなり減少してきたという施設の場合、低圧受電契約にするのがお勧めです。
また近年は電力の自由化により既存の地域ごとの電力会社以外に、新たな企業が電力供給に参入するようになり、これまでになかったサービスも提供されるようになりました。
例えばマンション高圧一括受電というサービスがあり、これまではマンションの各住戸は個別に低圧受電契約を結んでいましたが、このサービスではマンション全体で一括で高圧受電契約を結ぶことができ、低圧受電契約よりも電気料金を安くできる可能性があります。
もちろんこのサービスにもメリットとデメリットがありますので、個々の状況に応じて適切な受電契約を比較検討する必要があります。
まとめ
それぞれの施設に応じた適切な受電契約を選ぶことで、電気料金を賢く節約することができます。まずは施設全体の電気の使用量がどれぐらいか、またキュービクルを設置する費用や維持管理費も含めて検討し、高圧受電契約にするか低圧受電契約にするかを決定しましょう。
またこれら2つの受電契約の中でも、さらにいくつかの契約の種類がありますので、各施設に適した契約方法を見つけることができるでしょう。
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