電気の使用容量が大きいショッピングモールや、工場などの施設でよく目にする、小型変電設備のキュービクル。
このキュービクルですが、見たことや名前を聞いたことがあるけれど、内部がどのようになっているのかがわからない、といった方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
そして、どのような構造でどうやって電気を変圧しているのかというのも、気になるところです。
そこで今回は、キュービクルの構造を知って、メンテナンスや管理を適切に行えるようにキュービクルの構造についてご紹介していきます。
高圧受電に必要なキュービクルとはどんな役割をするもの?
一般的に多くの電力を消費する建築物や施設では、通常の電力会社からの送電では電力を必要な分だけ賄うことができません。また、コストも割高になってしまいます。
そこで高圧受電契約というものを電力会社と結び、高い電圧で電気を送電してもらうことでコストも抑えられ、問題なく電気を大量に使用することが可能になります。
しかし、高圧の電気はそのまま施設の電気設備に利用することはできません。施設内部の電気設備や照明など、通常の電気製品などに電力を分配するにはあまりにも電圧が高すぎるからです。
そこで必要なのがキュービクルです。箱形の小さな変電所とも例えられることが多く、大型商業施設の屋上や、施設内にコンクリートなどでできた設備を目にすることがあると思います。
キュービクルは電力会社から送られてくる高圧の電気を一旦蓄積し、さらにそこから通常の電化製品を使えるように電圧を変え、下げた上で施設内に送り込む役割を持っています。
キュービクルの内部構造はどうなっているの?
キュービクルの内部構造は、電力会社から送られてくる高圧の電気を電線から受け取ったり施設内に送り込んだりするための専用の高圧ケーブル、そして、雷からキュービクルを保護するための避雷器、そして、肝心な高電圧の電気を一般的に使用することができる電圧へ変換する変圧器などがあります。
これらの部品は、キュービクルのメーカー及び型番などによって見た目などの多少の違いはありますが、原則的には同じものが使われています。
一般的に電柱などについている変圧器、つまりトランスと同じ働きをするのがキュービクル、というわけです。
キュービクルの構造図を見ればメンテナンス必須の理由が明らかに!
キュービクルの構造図には、変圧器をはじめ、高圧交流負荷開閉器(コンデンサ)や電圧計から電流計まで繊細で水や、酸化に弱い機器が沢山使用されています。
その他、漏電が起きた時の遮断機や警報機など、精密な機器が設置されているにも関わらず、キュービクル自体の設置は屋外や屋上になります。
暴風暴雨の構造になっているとはいえ、外的要因で内部の破損や汚損が起きてしまうことも考えられます。また、それぞれの機器や部品には耐用年数がありますので、これらの機械のうち1つでも正常に動作しないものがあれば、変圧を正常にできず、結果として施設全体の停電など大きなトラブルを引き起こしてしまう可能性があります。
最悪の場合、絶縁不良などにより、漏電・発火すると大火災にもなりかねません。もし大火災になれば電気会社からの電気供給がストップし、周辺一帯停電になることも考えられ波及事故につながることもあるのです。
したがって、法律に基づき必ず点検作業を行わなければなりません。点検には、1か月ごとに行う月次点検、年に1度行う年次点検の2つが存在します。それ以外にも日々のチェックやメンテナンスをすることによって火災などの事故は防ぐ事ができます。
メンテナンスは不要ではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、キュービクルの構造がわかると、必須の理由が明らかになりますね。このような大事故を引き起こさないためにも、キュービクルのメンテナンスは必須、というわけです。
キュービクルを安全に使うには構造をしっかり理解して設置しよう
電力に掛かるコストを抑えられるという非常にメリットがあるキュービクルですが、安全に使うためには構造をしっかり理解した上で設置することが求められます。
その上で、設置に必要な基礎工事の工法にするか、海の近くに設置する場合は塩害対策や湿地帯では結露対策などを施さなければいけません。
また、騒音や、高周波における被害を与えないか?なども検討することも必要になります。
あらゆることを考慮して、安全に使うために事前に理解し、設置業者やメーカーとも相談してから導入しましょう。
まとめ
キュービクルは電力会社から送られてくる高圧の電力を、一般の家庭で利用できるだけの電力に変圧し、施設内に送り込むための非常に重要な設備であることがわかりました。
メンテナンスに関しても、法律で義務付けられるほど精密な機械が内部には沢山使用されていますので、きちんと構造を理解し安全を確保した上で設置するようにしたいところです。
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