企業では一般家庭と比べて大量の電気を必要とするため、施設内に変電設備を設置することも珍しくありません。
電気を利用するには必要不可欠な存在とも言えるのですが、変電設備とはいったいどういう役割を果たすものなのでしょうか?
変電設備の種類をはじめ、導入するメリットなどを詳しく紹介していきます。
変電設備にはどんなものがある?
そもそも変電設備とは、電力会社から送られてくる高圧の電気を、低圧に変圧し各種機器で使えるようにする設備の総称です。
変圧器の1種だとイメージすればわかりやすいと思います。
また、配電盤も高圧の電気を低圧に変圧してくれるので、変電設備の1つと言えるでしょう。
分電盤は配電盤から送られた電気を分配するもので、変電しているわけではないので変電設備には該当しません。
受変電できる機器は2種類
変電のみならず受電する装置も備えた受変電が可能な機器は大きく分けて2種類あり、開放型と閉鎖型に分かれています。
開放型はオープン式と呼ばれたり、閉鎖型はキュービクル式と呼ばれたりもします。
どちらも受変電できるという点では同じなのですが、それぞれで特徴が違います。
変電設備の導入を考える場合は、開放型と閉鎖型のどちらにするかもしっかり検討しなければなりません。
特徴を理解し、どちらが最適なのかを考えられるようになっておくことも大切です。
開放型受変電設備(オープン式)
開放型の受変電設備は、鋼材などを材料として大きなフレームを作ります。
このフレームに必要な機器を設置し、受変電設備として可動させる形です。
フレームに機器が取り付けられているため、配線や機器の状態を目で確認しやすく、点検作業やメンテナンス作業が比較的容易なことが大きな特徴です。
ただし、高圧充電部分がむき出しになっていて、安全性の面では少し不安が残ります。
安全に稼働させ利用できるよう、細心の注意が必要です。
さらに設置には広いスペースが必要になるので、敷地の面積によっては開放型を利用したくても設置できない可能性が出てきます。
十分なスペースを確保できる場合のみ利用可能な設備と言えるでしょう。
閉鎖型受電設備(キュービクル式)
一方で閉鎖型の受変電設備は、キュービクルに代表されるように、金属の箱の中に各種機器が収納されています。
受変電設備は変圧器をはじめ、遮断器や制御装置、計測機器など、さまざまな機器で構成されていますが、これらがすべて金属の箱に収まっています。
開放型のようにフレームを作る必要がなく、省スペースで利用可能です。
狭い敷地内にも設置できるのが特徴で、コストパフォーマンスにも優れています。
ただし、箱の中に機器が収納されている関係上、中の状態がわかりにくく、目視での点検作業は開放型よりも手間がかかります。
メタルクラッドと呼ばれるタイプの設備もありますが、こちらは各機能に応じて金属の箱が区切られていて、複数の箱で構成されているような状態です。
近年ではキュービクルが一般的になってきているので、メタルクラッドを採用するケースは減少しているようです。
メリットが多いキュービクル式
閉鎖型受変電設備、中でもキュービクル式はメリットが多く注目を集めています。
何よりも大きなメリットが電気代を節約できることでしょう。
キュービクル式を導入することで、電気代が割安になり、導入前よりもコストを抑えられます。
工場など大量の電気を使う施設では電気代が大きなコストになりますが、そのコストを最小限にできるのは大きなメリットです。
さらにキュービクル式は箱の中に機器が収納されているため、コンパクトで狭いスペースにも設置できます。
取付工事も容易で、すべての機器が1つの場所に収まっているのでメンテナンス性も高いと言われます。
このようにキュービクル式は他の受変電設備よりもメリットが多く、だからこそキュービクル式が採用されるケースが増えています。
もし変電設備の導入を考えるなら、キュービクル式に注目してみるのがおすすめです。
メリットを把握しておけば、導入することでどんな利点があるのかも考えられるようになります。
まとめ
変電設備について紹介しました。
大量の電気を使用する施設では受変電設備が必要になってきます。
受変電設備には開放型と閉鎖型の2種類があり、それぞれ独自の特徴を持っています。
特徴を把握し、どちらのタイプが良いのかをまずは考えましょう。
中でも閉鎖型のキュービクル式は、メリットが多く人気です。
設置することで電気代の節約が可能で設置スペースも小さく、メンテナンスもしやすいと複数のメリットが生まれます。
もちろん開放型にもメリットがありますので、比較して最適な方を選ぶことが大切です。特に、キュービクル式は使い勝手が良く、有効に活用するためにも正しい知識を身につけておくことをおすすめします。