電気室とキュービクルはどちらも電気を受電するという点では同じです。
ではなぜ呼び方が違うのか、それぞれの差について見ていきましょう。
導入を検討する際は、電気室とキュービクルにどんな違いがあるのか、しっかり把握しておき、違いについて正しく理解しておくことが大切です。
電気室とは?
電気室とは、簡単に言うなら電気設備が格納されている部屋、もしくはスペースのことを指します。
後ほど詳しく紹介しますが、キュービクルは電気設備が鉄製の箱にすべて格納されているため、部屋というよりは容器といったイメージです。
格納している形状が違うと言えます。
電気室の場合、部屋もしくはスペースということで、建築物内のある一室丸ごとを利用して電気設備を格納しているため、キュービクルの方がコンパクトです。
電気室の方がスペースの広さという点では規模が大きいとも言えるでしょう。
また、電気室の大きさは建築物の大きさに比例することがほとんどのため、建築物が大きければ大きいほど電気室も大きくなっていきます。
キュービクルもサイズの違いはありますが、電気室ほど大きくなることはありません。
電気室には電気設備が格納されているわけですが、具体的にどんな設備があるのでしょうか?
一般的に格納されている電気設備を下記にまとめます。
★配電盤
★分電盤
★遮断器
★電力量計
★変圧器
★母線
★予備電源
★火災報知器操作盤
★配線盤
通常、以上の電気設備が格納されています。
どれも電気を利用するためには欠かせない設備です。
たとえば変圧器がなければ、電力会社から送られてくる高圧の電力を変圧できず、電気を使うことができません。
電力会社から来る電気を適切に変圧し、管理しながら電気を使えるようにしてくれる設備と考えても良いでしょう。
また、大規模な電気室になると、主電気室と補助電気室の2つに分かれることもあります。
さらに主電気室に屋内変電所が設けられている場合もあり、大規模な電気室になるとかなりの設備が整っています。
キュービクルとは?
では次にキュービクルについて詳しく見ていきましょう。
キュービクルとは、電力会社から送られてくる高圧の電気を、各施設で使えるように低い電圧に変圧する設備のことです。
電気室は電気設備が各種設置されていますが、キュービクルは変圧を主な目的としたものと言えます。
電気室にも変圧器はあり、変圧が可能ですがキュービクルは変圧に特化しているようなイメージです。
変圧器以外にも保護装置や計測装置、拝殿装置など各種装置が設置されていますが、これらがすべて鉄製の箱の中に収められています。
電気室は建築物内の部屋を利用しますので、この点も違いになるでしょう。
キュービクルは必要な設備をすべて1つの箱の中に入れています。
具体的にどんな設備が入っているのかは以下のとおりです。
★区分開閉器
★変圧器
★断路器
★遮断器
★保護継電器
★制御装置
★継続機器
★低圧配電設備
これら8つの設備が大型の箱の中に格納されていて、主に変圧を行っているわけです。
キュービクルは電気室に比べて設置スペースが少なくて済むというメリットがありますが、注意しなければいけないこともあります。
電気室のように屋内に設置するのではなく、屋外に設置することが多いため、さまざまな対策が求められるのです。
たとえば屋外に設置していると、雨風で箱が劣化する恐れがあります。
そのため容器となる箱は耐候性が高くならなければならず、さらに人はもちろん動物などの侵入対策もしなければなりません。
雪の多い地域なら積雪に対する備えも必要ですし、結露防止のためにヒーターの利用も必要になります。
なにかとコストがかかることが多く、初期投資だけでなく運用にも多額の費用がかかる可能性があります。
このコスト面の問題をどう解決するかが1つのポイントです。
キュービクルは非常に便利な設備ですが、どうしてもコストがかかってしまいます。
それならば屋内に設置すれば良いという考え方もありますが、屋外にも設置できるのが電気室との大きな違いなので、特徴を消してしまうことにもなります。
屋外に設置するのが基本として、考えられるリスクや問題を解消するために備えることが大切なのです。
また、キュービクルは変電設備として消防法の規制があります。
近くの建築物から3メートル以上離して設置しなければならないなど、一定のルールがありますのでそれを守ることも重要な点です。
いわゆる保有距離と呼ばれるもので、設置に際して保有距離をチェックし、充分な距離が取られているかも確認しましょう。
電気室とキュービクルとはなんなのかをそれぞれ見てきました。
特徴などを把握すれば、自然と違いも見えてきます。
電気室とキュービクルはよく似ているように思えますが、ここで紹介したような違いがあるので正確に覚えておきましょう。
電気設備を設置する時に、電気室とキュービクルのどちらが必要なのかを考えるためにも、違いを理解しておくことが大切です。