私達が使っている電気には、低圧や高圧という電圧種別があります。
その1つが特別高圧と呼ばれる電圧なのですが、特別高圧を利用するためには受電設備を導入しなければなりません。
では受電設備を導入するメリットはあるのか、その点について考えてみましょう。
特別高圧電力とは?
まずは特別高圧電力とはなんなのかを理解しておきましょう。
正式には特別高圧電力と呼びますが、多くのケースでは特別高圧や、特高と略して呼んでいます。
どれも呼称が違うだけで同じ特別高圧電力のことなので注意しましょう。
ここでは特別高圧という呼称で統一します。
特別高圧は電気設備基準における送電電圧の規格の1つで、7,000Vを超える電圧のものを指しています。
高圧よりもさらに電圧が高く、まさに特別な電圧と言えるでしょう。
特別高圧の受電電圧は20,000V以上で、さらに電力契約が2,000kW以上となります。
私達が利用する電圧の中で、最も高いのが特別高圧と考えてもかまいません。
特別高圧電力が必要なのはどんな施設?
低圧・高圧・特別高圧と3つの電圧種別がある中で、特別高圧が必要になるのはどんな施設でしょうか。
特別高圧は受電するのに専用の設備が必要になることもあり、一般家庭などではまず不要です。
特別高圧が必要になるのは、工場や、大規模な企業・病院・商業施設といった比較的大きな施設が中心です。
産業や商業向けの電圧とも言えるでしょう。
こうした施設では使用する電力量も一般家庭と比較して多くなりますし、昼夜を問わず電力が必要になるケースも多いので、高圧や特別高圧を選択することが増えます。
小規模・中規模の施設だと高圧で十分なことも多いため、さらに大きな大規模施設で利用されるのが一般的です。
また、特別高圧を利用するためには、安全性の確保などの理由で特別な知識が必要になります。
講習会を受けたり、資格を持った人を在籍させたりと、一般家庭では利用条件を満たすのが難しく、その点からも企業などの施設でしか利用されない背景もあります。
必要な受電設備とは?
特別高圧を利用するためには、受電設備を設置しなければいけません。
キュービクルがその代表格になるでしょう。
特別高圧では文字通り非常に高い電圧の電気を扱うことになり、実際に使用する際には変圧を行う必要が出てきます。
そこでキュービクルを利用し、受変電設備として活用します。
また、送電線を直接施設内に引き込んだり、変電所を経由して電気を流したりするなどの対策も必要になり、送電線を引き込むために鉄塔を設置することもあります。
特別高圧はこのようにさまざまな設備が必要で、当然費用もかかります。
特別高圧を利用する際には、受電設備の設計や設置も行い、安全に電気を利用できるように備えなければなりません。
費用が発生してしまうものの、特別高圧でないと電気を有効活用できない施設であれば、投資と考えて受電設備を設置することが大切です。
そうすれば特別高圧を利用できるようになり、より大量の電気を使えます。
工場などは常に大量の電気がないと稼働しないため、必要な受電設備を設置して準備を整えましょう。
特別高圧受電設備を導入するメリット
そもそも特別高圧を利用するには受電設備を設置・導入しなければいけませんので、メリットの有無に関係なく特別高圧を選ぶなら受電設備は必要になります。
では、費用をかけてまで受電設備を導入するメリットはあるのかを見ていきましょう。
最大のメリットは、なんといっても電気代の削減が狙えるという点です。
低圧・高圧・特別高圧と3つの電圧種別があるわけですが、実はこの中で料金単価がもっとも高くなるのが低圧です。
次いで高圧・特別高圧と続き、料金単価で比較すれば特別高圧がもっとも電気代を安く抑えられる電圧なのです。
キュービクルの設置をはじめ、費用がかかってしまうものの、それ以降の電気代は安くなるため、長期的な視点で考えると特別高圧がもっともお得になる可能性があるのです。
具体的な金額は電力会社ごとに違うため一概には言えませんが、いずれにしても低圧や高圧と比べて特別高圧の料金単価が安いのは共通しています。
特別高圧受電設備を導入すればその特別高圧が利用できるようになり、今までよりも安い金額で電気を使えるようになるわけです。
各種設備の導入にかかる費用を計算し、さらに今後の電気代を計算すれば、いつ頃に元が取れるかもわかるでしょう。
特別高圧を利用する時は、短期的にではなく長期的にお得かどうかを判断することが大切です。
特別高圧は大規模な工場や商業施設、病院などで主に利用される電圧種別です。
利用するためにはキュービクルなどの受電設備の設置が必要で、費用もかかりますが料金単価が安くなるというメリットも持っています。
電気の使い方を見直す時には、受電設備を設置・導入して特別高圧に切り替えることも検討すると、より少ない費用で電気を使えるようになる可能性があります。