電力の契約メニューにはいくつかの種類がありますが、その中でよく目にするのが業務用電力と高圧電力です。
この2つの電力にはいったいどういう違いがあるのでしょうか?
ここでは業務用電力と高圧電力の違いを中心に業務用電力とは何か?また業務用電力の基本料金や単価を紹介していきます。
業務用電力とは?
そもそも業務用電力というのは、高圧または特別高圧で受電し、電灯と動力を合わせて利用するという電力の契約メニューのことです。
主に企業の事務所や学校、病院、商店などの施設で契約されるメニューで、動力200Vと電灯100Vを併用する形になっています。
そのため一般住宅では利用されることのない契約で、基本的には上記で紹介したような施設でのみ利用されています。
契約電力が50kW以上となる場合は原則として高圧受電する必要がありますが、高圧受電を行う需要家は業務用電力を含む、複数の契約メニューの中から対象の施設に適している契約を選ばなければなりません。
日本の各地域にある電力会社では標準的な契約メニューとして採用しており、業務施設や商業施設が契約することがほとんどということもあり、平日の日中に電気の使用量が多くなる需要家に適していると言われます。
料金体系として夏の時期は料金が高く設定されていて、逆の夏以外の季節は料金が安く設定されています。
これは夏場でのエアコンの使用によって、電力消費量が増大することが理由です。
業務用電力と高圧電力の違い
業務用電力と高圧電力の違いを知るためにも、まずは高圧電力とは何かを理解しておきましょう。
高圧電力は標準電圧6,600Vの電力を、変電設備を利用して事業所内に変圧して需要することを指しています。
契約電力は50kWから2,000kW未満で、工場で利用されることの多いタイプです。
業務用電力も業務施設や商業施設で利用されることがほとんどですので、その点ではよく似ていますが、高圧電力は中でも工場に絞られることが多いという違いがあります。
また高圧電力は契約電力が500kWを基準とし、高圧電力Aと、高圧電力Bという2種類に分けられます。
高圧電力Aは500kW未満の場合で、高圧電力Bは500kW以上の場合となります。
さらに契約方式にもAとBで違いが見られ、高圧電力Aは実量値契約方式が採用されていて、高圧電力Bは協議方式が採用されます。
この点も業務用電力との違いになるでしょう。
また業務用電力は動力200Vと、電灯100Vを併用するのに対し、高圧電力は動力200Vを使用するだけです。
電灯100Vとの併用がなく、この違いで業務用電力と高圧電力を分けることも可能です。
業務用電力と高圧電力はよく似ているため、違いもわかりにくいのですが、こうした違いがあるということを理解しておくことでそれぞれの差がわかりやすくなります。
基本料金や単価の算出方法
では業務用電力を利用した場合の、基本料金や単価の算出方法について詳しく見ていきます。
まず大前提として、業務用電力の基本料金は一定ではなく、実際に発生した最大の需要電力に基づいて決定されます。
必ず決まった料金が発生するわけではないので注意しましょう。
基本料金を決定するためには力率が関係していて、力率85%を基準の数値として扱います。
ここから1%改善するごとに基本料金の1%が割引となるため、改善されればされるほど基本料金が安くなる仕組みです。
基準値である85%だったとすれば、割引率も0となり、これが標準の基本料金だと考えることもできます。
逆に85%から1%増えるごとに、基本料金も1%の割増となります。
力率が低ければ基本料金が安くなり、力率が高くなると基本料金も高くなる仕組みなのです。
具体的に業務用電力の基本料金を計算する際には、この公式が用いられます。
料金単価×契約電力×(185-力率)÷100
具体的な料金単価などは電力会社ごとに違いますので、適切な数字をこの公式に当てはめてあげると、業務用電力の基本料金が計算できます。
また電力量料金を計算するには、この公式が用いられます。
料金単価×使用電力量±燃料費調整額
ここで出てくる燃料費調整額というのは、発電時に使われる燃料の価格のことです。
燃料価格は常に変動するため、毎月変動分を調整し燃料費調整額として請求されます。
この燃料価格によって高くなったり安くなったりします。
最終的に、基本料金+電力量料金+再生可能エネルギー発電促進賦課金という計算をすることで業務用電力の料金が計算できます。
公式に数字を当てはめていくだけなので、公式さえ覚えておけば簡単に業務用電力の基本料金や単価を計算できます。
まとめ
業務用電力とは主に業務施設や商業施設で利用される電力メニューのことです。
高圧電力とはまた違ったもので、電灯100Vと併用するかどうかが大きな違いの1つとなります。
また、業務用電力の基本料金は公式を使って計算できます。
力率や燃料費などによって変動しますので、計算できるようになっておくと便利でしょう。