キュービクルの中には、消防認定キュービクルと呼ばれる特別な認定を受けたものがあります。
消防認定キュービクルとはどんなものなのかをはじめ、設置基準についても詳しく紹介します。
キュービクルを設置する際には、消防認定キュービクルとするべきかどうかも検討してみましょう。
消防認定キュービクルとは?
消防認定キュービクルとは、消防庁告示基準である、消防庁告示7号、および8号に適合しているキュービクルのことを指します。
基準に適合しているキュービクルはすべて消防認定キュービクルとする条件は満たしていますが、実際には審査を受ける必要が出てきます。
そのため基準に適合するよう設置すればそれだけで消防認定キュービクルとなるわけではありません。
また、一般的にキュービクルと言うと高圧の電気を低圧に変電する設備と解釈されますが、消防認定キュービクルは専用の受電設備をはじめ、自家発電設備や蓄電池設備も含まれます。
これらの総称として消防認定キュービクルという名称を使っている形です。
通常のキュービクルと比べて耐火性能に優れ、非常電源専用の受電設備としても利用可能です。
つまり消防法で規定されている条件を満たした、防災用電源として使えるということになります。
実際に火災などがあれば、消防認定キュービクルを消防用設備に電気を供給する非常電源として使うことがあります。
こうした用途から認定を受けるためには本来の基準以上の耐火性能などが必要で、消防認定キュービクルを設置するには事前にそれを踏まえて準備することが大切です。
消防認定キュービクルは非常用発電機として災害時にも力を発揮
上記で紹介したように、消防認定キュービクルは非常用発電機として利用することが可能です。
耐火性能に優れるため、火災をはじめとした災害時でも発電機として利用できる性能があり、消防設備への電気の供給を中心に活躍します。
本来キュービクルというと対象となる施設に電気を供給する設備と言えますが、消防認定キュービクルはそれだけでなく非常時にも役立ってくれるわけです。
消防法では建築物の火災時に備え、非常電源の設置が義務付けられています。
そのためキュービクルとは別に非常用発電機などを設置しておくケースも多いのですが、消防認定キュービクルがあればキュービクルをそのまま非常用発電機として使えます。
別な非常用発電機を設置するコストや、設置スペースなども抑えることができ、その意味でもメリットのあるものでしょう。
また、消防認定キュービクルは認定キュービクルと呼ばれることがありますが、どちらも呼び方が違うだけで同じものです。
認定キュービクルと言えば消防認定キュービクルのことだと考えれば問題ありません。
認定を受けているかどうかは、キュービクルの外観を見ればすぐに確認できます。
受電盤部分に認定銘板が取り付けられるため、この銘板の有無でチェック可能です。
もしキュービクルに認定銘板が付いていれば、そのキュービクルは非常用発電機としても使える認定を受けているということになります。
消防認定キュービクルの設置基準について
では消防認定キュービクルを設置する際の基準について見ていきます。
設置基準を満たすことで認定を受けられる状態になります。
まず消防法においては火災時に、消火活動や避難活動がスムーズにできるよう、3つの非常電源の設置を義務付けています。
非常用電源専用受電設備・自家発電設備・蓄電池設備が該当し、これらが設置されていなければなりません。
消防認定キュービクルの場合、これらがキュービクル式で作られている形となります。
この他に、臨時境界から3メートル以上の距離を確保することも条件となっています。
ただしスペースの問題などでどうしても3メートルの距離を確保できない場合は、不燃材で作られた塀を設置することでも条件を満たせます。
この塀は高さが非常用電源専用受電盤設備の最高以上であることも条件です。
つまり十分な離隔ができない場合でも、不燃材の塀によって安全性が確保されれば良いわけです。
注意点として、消防認定キュービクルは部品すべてが認定の対象となるため、機器の交換などをしてしまうと認定が取り消されます。
機器の交換や内部部品の改造などは慎重に行いましょう。
認定が取り消された場合は再度条件を満たしていることを確認し、改めて認定を受けます。
消防認定キュービクルとは、主に火災時にも電源として使うことができる耐火性能に優れた特殊なキュービクルです。
認定を受けるためには設置基準などの条件を満たす必要があり、そのうえで審査を受けて合格すれば消防認定キュービクルとして利用可能になります。
災害時に備えるもののため、普段は必要ではありませんがいざという時に役立つため、キュービクルを設置する際には認定を受けるかどうかも考慮すると良いでしょう。
そのためにも消防認定キュービクルとはなんなのかを正確に理解しておくことが大切です。