「バルブタイミング」とは、吸気バルブと排気バルブの開閉タイミングのことです。
吸気バルブは、
シリンダへ空気または混合気を導入する入り口を開閉するフタのことです。
(ディーゼルエンジンは空気、ガソリンエンジンは混合気ですね)
排気バルブは、燃料が燃えた後の排気ガスを排出するための出口を開閉するフタのことです。
ここからの説明はガソリンエンジンを例に取ります。
まずは、エンジンの一連の動きの中で吸排気バルブの開閉タイミングをざっくりと書いみました。
吸気行程(混合気をシリンダへ入れる)
吸気バルブ「開」
排気バルブ「閉」
圧縮行程(混合気を圧縮する)
吸気バルブ「閉」
排気バルブ「閉」
燃焼行程(混合気が燃える)
吸気バルブ「閉」
排気バルブ「閉」
排気行程(排気ガスをシリンダから出す)
吸気バルブ「閉」
排気バルブ「開」
まずは上に書いてある内容を抑えてもらえば良いです。
ただし実際のエンジンにおいて、吸排気バルブはエンジンの低回転時と高回転時で最適な開閉タイミングが異なっています。
エンジンが低回転のとき
主に街中をゆっくり走っている時なので、パワーはそれほど必要ないですよね。
そんなときは、吸気バルブの開いている期間を短くします。
それはシリンダへ入ってくる空気の流れが遅いので、圧縮行程でピストンが上昇し始めたときに空気が押し戻されてしまうためです。
一方、
エンジンが高回転のとき
主に高速道路で車を追い越す時なので、パワーを必要とします。
そんなときは、吸気バルブの開いている期間を長くします。
それは出力を得るためできるだけ多くの混合気をシリンダへ送るためです。
またシリンダへ入ってくる空気の流れが速いので、低回転時よりも長くバルブが開いていても問題ありません。
そのため次のようなジレンマが生じます。
低回転用のバルブタイミングでは、高回転が苦手
高回転用のバルブタイミングでは、低回転が苦手
スポーツ性と街乗りでの扱いやすさが両立しにくいということです。
しかし技術は進歩するもので、これらを解決した仕組みがあります。
ホンダの「VTEC」やトヨタの「VVT-i」などです。聞いたことある人もいるかと思います。