尿素SCRシステムはエンジンの排出ガス成分のうち窒素酸化物(NOx)を低減させるため、NOxを無害な窒素に変える排気ガス浄化装置のことです。
ディーゼルエンジンに使われます。
排出ガス(ディーゼルエンジン)でディーゼルエンジンの有害な排出ガス成分であるNOxとPMを同時に減らす2通りの方法があると書きました。
パターンその1
良く燃えるエンジン設定にしてエンジン側でPMを減らし、排気管にNOxを低減させるシステムをつける。
パターンその2
燃焼を抑えたエンジン設定にしてエンジン側でNOxを減らし、排気管にPMを低減させるシステムをつける。
今回の尿素SCRシステムはパターンその1に該当します。
尿素SCRシステムの原理はこんな感じです。
冒頭でNOxを窒素に変えると書きましたがNOxを窒素に変えるには、NOxから酸素を奪わなければなりません。
一方で排気ガス中には未燃燃料(HC)、一酸化炭素(CO)などもありこれらは酸素とくっついて二酸化炭素や水になります。
ここでNOxから酸素を奪ってHCとCOがその酸素とくっつけば共に無害な物質になりうまくいきそうです。
しかし、残念ながら世の中そううまくはいきません。
ディーゼルエンジンの排気ガス中には酸素が多いのが問題です。
ディーゼルエンジンでは、空気をすえるだけ吸って出力に応じて軽油を噴射する仕組みのため排気ガスには酸素がいっぱいあります。
軽油が燃えるのに必要な量以上のたくさんの空気が存在しています。
そのため排気ガス中に酸素がいっぱいあるのでHCとCOは「NOxの酸素」ではなく「排気ガス中の酸素」と反応してしまいます。NOxから酸素を奪ってくれません。
ありがたいことに、酸素が多い環境の中でわざわざNOxから酸素を奪ってくれる物質があります。
それが何かというと、、、
アンモニアです。
アンモニアはNOxから酸素を奪いとってくれます。
ここでアンモニアはどこにあるの?
という疑問がわいてくると思いますが、外部から排気ガス中に加えます。
実際は、アンモニアの取り扱いが難しいので無害な尿素をタンクに貯蔵しておき、それをアンモニアに変えて排気ガスに加えています。
尿素は化粧品などに使われている人体に無害な物質です。
それで”尿素”SCRシステムと言うわけです。
ちなみにSCRはSelective Catalytic Reductionの略で直訳すると「選択的触媒による低減」です。
意味は、「アンモニアがNOxを選んで反応し、窒素に変えることでNOx
が低減される」といったところです。
以上、つらつらと書いてきましたがまとめると、
尿素SCRシステムは、尿素を外部から供給し、装置内でアンモニアに変え、そのアンモニアとNOxを反応させてNOxを窒素に変える装置ということです。
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